ことあれかしだった

ちいさい怪談や奇譚を細々と書いています

夜の公園の楽しみ方

こんばんは。

人間にとって本当の恐怖ってなんだと思いますか。

それは引っ越した先の部屋ではじめてGを見た瞬間です。

 

今日公園に行ったのですが、人っ子ひとりいませんでした。

ぼーっとベンチに座ってた(PM23:00)のですが、夜の公園ってうつろな感じがすごいですよね。

無駄に広い空間の隅っこに遊具が佇んでて、気味が悪いくらい眩しい照明が辺りをむやみに照らしてます。

人がいる前提の場所ですから、前提が崩れてる時間の違和感がすごい。

公園って、家が建てられない土地の使い道になってるケースが多いんですって。

もともと田んぼだったりして地盤が悪いとか、大体は水にまつわる事が多いらしいのですが。

例えば神社の跡地だったりとか、昔の忌み地だったりとか、屠殺場とか、お墓とか、少ないとは思いますが、そんなオカルティックな由来があったりもします。

そうすると公園が不気味なのって実は自然なことで、昼間は明るいですから、明るかったら別に神社だろうがお墓だろうが普通ですもんね。

夜の公園が怖いって、別におかしな話じゃなくって。

あそこの公衆トイレから今、黒い人がぬっと出てきてすぐに横の林にまぎれて行きました。

カラコロといったよくわからない音があっちこっちで聞こえます。

風が吹いてる気配がするのに、わたしの周りは池の底のように澱んでいます。

不穏、といった言葉が浮かびました。

こんなところにいつまでもいたらよくないと思います。

でも期待しちゃうのも人情ですよね。

怪異が起こったらめっけもん、だってわたしは怪異が大好きなのですから。

 

「ばあ! こわいものが来たぞ」

なんてまっ白で大きい顔。

「こんなのが見たかったんだろ。もっと見なよ、具に」

赤黒いしみのついた軍手に、錆びた包丁を握って。

「気絶する? 殺される? 攫われる? 拷問される? もっとひどい目に遭う? 好きなのをお選び」

げたげたと笑いながら、目の前でぴょんぴょん飛び跳ねています。

わたしはベンチに座ったまま固くなっています。

顔はひきつって、手元は震えて。

 

では!