ことあれかしだった

ちいさい怪談や奇譚を細々と書いています

家鳴り

こんばんは。

明日は有給なので夜更ししてます。

年5日取らないといけないやつの消化分で、今回、申請理由に「有給消化のため」と書いても承認もらえる事が実証されました。

。。。

 

なんか最近、ラップ音がして怖いと相談される事が多いです。

家鳴りやないのと答えると、家鳴りって何? と言われます。

ラップ音知ってて家鳴り知らんとかあるのと思いますが、わたしはこう見えて住宅のことに関してはそこそこ知識があるので、そんな質問や相談が来ることがあります。

ラップ音とは、霊的な何かが家の中で音を出す現象です。

家鳴りとは、妖怪です。床下にいて家を揺らすちっちゃい鬼みたいなやつです。

そのため、ラップ音や家鳴りの原因について聞かれた際は、100%霊的なもののしわざだよと回答するようにしています。

子供の頃住んでた家が、当時すでに築70年ぐらいのボロ屋敷で、家鳴りなんか日常音でした。

2階建てだったのですが、生活に使っているのは1階のみで、2階は普段誰も立ち入らないので廃屋のような状態となっていました。

ある夜、居間でアンビリバボーを観ていると、2階から物音がしました。

家鳴りだろと思って放っておいたのですが、その頻度が結構なもので、遠くで「ぱき」と聞こえたと思うと、今度は頭の上で「みしみしみし」と鳴るような具合です。

家にはわたし一人だけで、あ、小学生か中学生ぐらいの頃だったと思います。次鳴ったら見に行かねばなるまいと思った拍子に変な所から「ぎぎぎ」と音がしました。

2階はほこりがヤバいので靴を履いて、金属バット片手に階段を静かにのぼりました。

電気をつけたら逃げられると思ったので、1階から流れる明かりを頼りに暗い2階を徘徊しました。

当時の我が家はボロいなりに大きく、2階には6~7部屋ぐらいありました。

何でも昔下宿をやっていたらしく、四畳半ぐらいの部屋が沢山ある感じですね。

今は各部屋が物置となっていて、古い本やおもちゃ、大きなスピーカーなんかが転がってたり、わたしはその中に鹿の角でできた刀置き? みたなものを発見したので、夢中で触ったり眺めたりしていました。

暫くそうして宝探しをしていたのですが、ふと横の壁を見ると、壁に能面がかかっていました。

窓から差し込む月明かりに、ぼんやりと浮かんだ能面の笑み。

いつの間にか家鳴りはやんでいて、とても静かな夜でした。

1階に降りるとじいちゃんが帰っていて、2階で悪さしよったんかと言うので、あの能面なんなんと聞いた所、ウチにそんなもんありゃせんと言われました。

ウソつけと思ってもう一度2階にあがろうとした所、階段の先から流れてくる闇が暗すぎてめちゃくちゃ怖かったので、次の日の昼間見に行こうと思ったきり忘れて見に行かず、建て替えのために家は取り壊されて今はもうありません。

せめてあの鹿の角は回収したかったな。

 

では!