ことあれかしだった

ちいさい怪談や奇譚を細々と書いています

プカくん

こうやって毎日何かを書くっていいですね。

特に生活に変化をつけているわけではないので、何かをひねり出さなければ何も書くことがありません。

そのため、「なんか書くネタあるっけ」と思っている内に、自然と過去のこと、昔の思い出とか、印象的な記憶を探るようになってきます。

いい棚卸しになるかもしれないと考える一方、思い出されるのは子供の頃の記憶ばかりで、特にここ5~10年って何してたっけ、となんだかソワソワしてきます。

 

今日思い出したのはプカくんのことでした。

プカくんは小学生の頃のマブダチで、絵を書くのが上手なぽっちゃりくんでした。

何しろ田舎のちいさい小学校でしたから、悪んぼも陰キャも分け隔てなく、気が合えばマブダチみたいなところがあって、金髪で手が異様にでかいカズヤと、陰キャでおっとり系のプカくんとわたしとで暢気に暮らしていました。

ある日プカくんが3コ上ぐらいの先輩にいじめられて泣いていました。

お気に入りのMTGのレアカードを取られた挙げ句、お腹を蹴られて赤くなって、すごく痛そうでした。

恐らくわたしが、人生ではじめて義憤というものを感じた瞬間だと思っています。

しかし何しろ小学生ですから、3コぐらい離れているともう別次元の存在です。

正面からいっても勝ち目はないよねとカズヤほか悪んぼたちと話し合い、ハンターハンターヒソカのように、日々の暮らしの中で見つけ次第殺るという結論に落ち着きました。ただし向こうが一人でこちらが複数人のときという条件です。

はじめはびっくりするぐらい上手くいき、先輩をボコボコにしたあと先生にめちゃくちゃ怒られました。

その後は報復合戦で、先輩方が卒業するまでの間、わたしの小学校生活はなかなか殺伐としたものになっておりました。

ことの発端であったプカくんは平穏に暮らしておりましたが、本人がどう思っていたかはわかりませんでしたし、今もわかりません。

確か4、5年生ぐらいのときに、プカくんは転校しました。

お父上を事故で亡くされ、母方の実家に帰ったと聞いています。

夏休み明けに急に聞かされたので、本人に別れを告げられないまま、プカくんはいなくなってしまいました。

それから今まで消息はわかりません。

中学校に上がるとカズヤもいなくなりました。

不登校のような格好となり、はじめは朝迎えに行っていたのですが、その内に家も引っ越したらしく行っても誰もいなくなり、それきりです。

高校を卒業する頃に一度、海辺の町で釣りをしていたという噂を聞きましたが、彼のこともそれ以来なにもわかりません。

 

今でも静かな夜に、彼らを思い出すことがあります。

二人はわたしのことを覚えてくれているだろうかと思います。

元気でやってればいいな。

 

そんな言語化しにくい、さみしさというのが一番近いのでしょうか。

そのような気持ちから生まれた話がこのへんだと思っています。

 

 

最後は宣伝でした。

では!